医学部医学科の留年リスクが高い?進級が難しい理由を解説

2020年12月2日

医学部医学科の留年リスクが高い大学の傾向と注意点を解説

医学部医学科は進級判定が厳しく大学によっては大量の留年を出して話題になることも珍しくなく、学費が高い私立では退学してしまう学生もいます。

国公立大学・私立大学の医学部医学科では、6年制のカリキュラムが組まれています。

大学卒業までに医師として修得すべき知識や技能を身につけることが求められており、医学部の進級判定は他学部よりも厳しめです。

また、医学部の学生は授業と実習を両立していかなければならず、単位をひとつ落とすだけでも進級できないため、留年しやすい実情があります。

この記事では、医学部医学科の留年リスクは他学部よりも高いのかお伝えするとともに、医学部の進級が難しい理由を解説します。

大学生の留年状況

まずは、医学部以外の学部に属する大学生の留年状況をみていきましょう。

文部科学省の調査によると、一般的な4年制大学の卒業生で、所定の修業年数4年で卒業した大学生(平成27年4月に入学、平成31年3月に卒業した者)の割合は81.8%でした。

前年度は81.6%と、例年8割前後の大学生が留年せずにストレートで卒業しています。

一方で、2割近くの大学生はストレートで卒業しておらず、留年や退学をしていると考えられます。

同調査によると、1年留年し、修業年数5年で卒業した大学生(平成26年4月に入学、平成31年3月に卒業した者)の割合は7.0%です。

さらに、2年留年し、修業年数6年で卒業した大学生(平成25年4月に入学、平成31年3月に卒業した者)の割合は1.4%でした。

参考:文部科学省 『学校基本調査-令和元年度結果の概要-』(https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_chousa01-000003400_3.pdf)

医学部医学科は他学部に比べて留年しやすい?

医学部医学科の留年率は、他学部と比べて高いというわけではありません。

4年制大学の学部生と同じく、医学部も8割程度の学生はストレートで卒業しています。

国立大学医学部のストレート卒業率 85.2%
公立大学医学部のストレート卒業率 87.5%
私立大学医学部のストレート卒業率 81.1%
【平均】国公私立大学医学部のストレート卒業率 83.9%

(平成26年度入学者)

参考:文部科学省 『令和2年度 医学部医学科⼊学状況』https://www.mext.go.jp/content/20200904-mxt_igaku-100001063-2.pdf

しかし、医学部は大学によってストレート卒業率に大きな差があります。

100%の卒業率を誇る大学もあれば60%台の大学もあり、大学ごとに異なる進級判定の厳しさが影響していると考えられます。

偏差値が特別上位ではなくても、ストレート卒業率は高い大学もあるため、偏差値と卒業率は必ずしも比例するとは限りません。

医学部を目指す受験生は、志望校を選ぶ際に各大学の卒業率にも注目してみるとよいでしょう。

また、医学部で組まれるカリキュラムは特殊で試験の難易度も高く、他学部よりも進級は難しいといえます。

医学部の留年リスクが高い具体的な理由は以下のとおりです。

単位をひとつ落とすだけで進級できない

医学部では、教養科目が終わってからの授業はすべて必修となります。

必修科目の単位はひとつでも落とすと進級できず、留年の可能性が高まります。

医学部の留年リスクが高い理由は、その学年で実施される授業すべての単位を取得しなければならないからです。

もし必修科目の単位を落としてしまった場合は、その単位を取るためだけに次年度も大学に通わなければなりません。医学部生には単位をひとつも落とせないプレッシャーがあり、常に留年リスクと戦っているともいえます。

高度な知識とスキルが求められる

医学部としての最終目標は、卒業試験後に実施される医師国家試験に合格することです。

医師としてふさわしい人材を養成するために、医学部では高度な知識とスキルが求められています。

特に留年リスクが高いのは、1、2年生で習う基礎医学です。

基礎医学には解剖学や生理学、生化学など複数の科目があり、どれも暗記量は膨大です。

また、臨床実習の前段階となる早期体験実習は1、2年生から実施されるため、授業と実習を両立させる必要があります。

難易度の高い受験を突破したあとも、医学部では常に勉強していかなければならない環境が用意されています。

特殊ともいえる医学部の環境に馴染めず、1、2年生で留年や休学、退学をする医学部生も一定数いるのです。

こんな医学部は要注意

医学部を目指すにあたり、注意すべきポイントをご紹介します。

私立大学医学部医学科

私立大学の医学部医学科は、修業年数6年でのストレート卒業率が国公立大学よりも低い特徴があります。

中には90〜100%の卒業率を維持する大学もありますが、60〜70%台と平均より低い卒業率の大学も数多くあります。

私立大学は国公立大学よりも、留年しやすい大学、留年しにくい大学の差が大きくなっています。

また、国公立大学と私立大学では、医学部受験の難易度も異なります。

国公立大学では共通テスト(旧センター試験)と各大学の二次試験両方を受験しますが、私立大学では個別試験の成績で合否を判断する大学がほとんどです。

慶應義塾大学や順天堂大学といった難関私大ほど卒業率も高い傾向があることから、受験難易度は卒業率・留年率に影響すると考えられます。

偏差値がそれほど高くない私立大学の医学部は受験難易度としては低いですが、留年する可能性は高くなってしまうことを理解しておかなければなりません。

難易度が低いのに医師国家試験の合格率が高い

受験難易度が低く留年率が高いにもかかわらず、医師国家試験の合格率が平均よりも大きく上回る医学部があります。なぜこのような現象が起きるかというと、医師国家試験で高い合格率を出していることを外部にアピールし、大学の受験者数を増やしたい考えがあるからです。

特に私立大学でよくみられる現象であり、医師国家試験の合格が難しい学生を留年させている(進級判定を厳しくしている)と考えられます。

逆に言えば、受験難易度が高く留年率が低い医学部で、医師国家試験の合格率が高い場合は、学部内の指導が行き届いた優秀な大学と判断できます。偏差値や留年率に比べ、国家試験の合格率が高い大学は要注意です。

進級できなかったらどうなるの?

医学部では、教養科目が終わってからの授業はすべて必修となり、ひとつでも落とすと留年してしまいます。

医学部で進級や卒業ができなかった場合はどうなるのでしょうか。

留年の分だけ学費負担が増える

留年すると、その分だけ学費負担が増えることになります。特に医学部は6年制であり、元々の学費負担は4年制大学よりもかかっています。

その上さらに留年分の学費が積み重なるため、非常に大きな負担となるでしょう。

医学部で学んでいくモチベーションが下がる

たったひとつの必修科目を落とし留年してしまった場合、医学部ではそのひとつを履修するために次の1年間も大学へ通わなければなりません。

その上まわりは見ず知らずの学生ばかり、ともに学んできた友人は次のステップに進んでいるとなると、医学部で学んでいくモチベーションが下がる可能性があります。

高度な知識・技能が求められる医学部で学ぶ意欲が低下してしまうと、さらに留年を繰り返すことにもなりかねません。

留年は学費や時間の負担だけでなく、学ぶモチベーションにも大きく影響してしまうのです。

まとめ

一般的な4年制大学のストレート卒業率は8割程度であり、医学部医学科も同等かそれ以上の卒業率を維持しています。しかし、医学部では必修科目の単位をひとつでも落とすと進級できず、他学部と比べると留年リスクの高い学部といえます。

また、私立大学は国公立大学よりも卒業率が低く、留年しやすい環境にあります。

さらに、難易度のわりに医師国家試験の合格率が平均を大きく上回る大学もあり、試験の合格率を上げるために進級判定を厳しくしていると考えられます。

医学部を目指す受験生は、各大学の卒業率や留年率、医師国家試験の合格率も参考にしながら、納得のできる志望校選びをしていきましょう。

 
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